小説*夏の夜が短い理由
小説 オリジナル 夏最高ランク : 5 , 更新:
久々短編書いてみます
GO!↓
夜を運んでくる不思議な精霊がいます。
彼の名は、『夜の帳』と言いました。
彼は夕日が沈むとともに目覚め世界を夜で満たし、朝日が昇るとともに仕事を終え、眠りにつくのです。
そうして毎日を過ごし、彼は何百年もの月日を重ねていったのでした。
ある蒸し暑い夏のこと、彼は精霊の姿が見えるという少女と出会いました。
もちろん、少女には彼の姿だって、しっかりと見えていたのです。
少女と言葉を重ねていくたび、彼は少女に惹かれていきました。
彼女と少しでも多くの時間をともにしたい・・・。
そう強く思うようになり、彼の今までの生活は、少しずつ変化していったのです。
少女と過ごすために、朝日が昇って仕事を終えても眠ることはぜず、いつも午前中に自分の元へ来てくれる少女のことを待ちました。
楽しいひとときを終え少女が帰るお昼頃、やっと彼は眠りにつき、起きるのは今までよりも夕日をたっぷり三時間も待たせた後です。
こうして夜は、だんだんと短くなっていきました。
一夏が終わり、少女は自分の住んでいる都会へ戻ることになりました。
小さくなっていく少女の背中を、彼はいつまでも、見送り続けたと言います。
それから幾百年もの月日が流れ、少女が彼の元を訪れなくなった今でも、彼の夏の仕事は、少女といたときのようなままです。
午前はまばゆいばかりのお日様を眺めて過ごしお昼に眠って、夕日をたっぷりと待たせてから目を覚ます。
夏が終わると普段通りの生活に戻り、夏が来ればまた・・・・その繰り返し。
夏の日差しの中で、彼は今でも想い続けています。
あの少女のことを、あの少女の可憐な笑顔を。
太陽の下で無邪気にはしゃぐ彼女を、静かな庭に映し出しながら。
いつまでもいつまでも、夏の夜を短くしたままで。
夏の夜が短い理由*END
良かったら感想ください(←おこがましい奴w)
嫌いとか言うなよ嫌いとか
いつもそう言って戻ってくるくせに(笑)
成清ナツ@かなり低浮上
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