見事な緋色、緋色、濁った空に、鮮やかな

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最高ランク : 26 , 更新: 2019/12/23 21:56:41

南についたのは深夜だった。
光が光として輝いていたあの頃のような、シンと静まり返る夜だった。ひときわ大きな丸い光は、それはそれは冷たい色をして浮いている。数本の筋、流れ星が南の空へと落ちていった。

あの時の光のように。

しかし地面に雪はなく、パキリと砕けて溶けてしまう。まっすぐの線が何本も暗い空を横切って、ひときわ明るい南に落ちていった。

これが繁盛。これが良い国。
これが、あの旅人の言っていた、良い国。

暗く冷たい夜空を背景に、赤く輝く時計塔が一つ。その周辺には煙がふわふわと広がって、時折何かきらりとしたものを舞いあげている。近寄ると沢山の旅人がいた。どれもこれもあちこちに走り回り、判別できないほどの大きな声で何かを言っている。鳥はこれを良いこととして覚えた。

大きな塔を舐める業火。
小さな家々を飲み込む黒煙。
祭りよりも騒がしく、大火災から逃げる人々。

良いことだと覚えた大きな鳥は、冷たく静かな空から降りて、酷く温かい時計塔で羽を休める。羽は色を吸収し、淡く、赤く、緋色になるまでに成長した。鳥はそれを良いこととして、さらに広めてあげようと舞い上がる。

少し離れた丘の上に、旅人の集団が見えたのだ。
彼らの近くには小さな炎しか灯っておらず、それは良いことではないと思った。だから鳥はこの炎を分けてあげようと、大きな翼で黒煙に濁った空を舞う。近寄ってみればあの国と同じように、人がいて、物があって、馬がいて、荷物があった。簡単な建物も数個あったのだ。

だから鳥は、ここが彼らの国だろうと思った。

国が何かはよく分からないが、燃え盛るあの国を小さく小さくしたようなところなのだから、これも国で違いないはずである。だから鳥は緋色の翼で馬を撫で、旅人を撫で、物を撫で、荷物を撫でた。それを何回か繰り返せば、小さな国も良い国になる。

旅人が大きな声で元気に何かを言いながら、元気に走り回る良い国だ。

さらに鳥はとあることに気が付いた。大きな国の奥側にも、似たような寂しい場所があると。時計塔のような立派な作りをした建物には、小さな国と同じように小さな炎しかついていない。旅人も静かして動かず、馬は壁側に並んでいる。

だからおすそ分けをした。


■鳥…勘違い、種の違い
火災は良いこと

次回メモ:潰えた国の生存権

poidf(ポイドフ)


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文章強化中。正規品支部投稿。

基礎:scp緋色の鳥よ
追加:七羽の小鳥、生存権


poidf(ポイドフ)
2019/12/23 21:56:51 違反報告 リンク


🐣

poidf(ポイドフ)
2019/12/23 23:20:22 違反報告 リンク


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あかしげやなげ
2019/12/09 3:06:20 poidf(ポイドフ) 1 2

光が落ちた。 朝日が丁度顔を出したその時に、消えゆく夜に触れるが如く光が落...



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